髪質改善の基本理論について詳しく解説しています。

 

今日は髪質改善の基本理論についてお話しします。これを学ぶことで、お客様に正しく最適な髪質改善技術を提供し、本当に美しい髪を実現することができます。

最近、髪質改善が全国的にブームになっていますが、その多くが間違った方法で行われています。間違った技術を提供すると、髪が全く綺麗にならないばかりか、最悪の場合チリチリになって訴訟問題に発展することもあります。

お客様を美しくするためにも、自分自身を守るためにも、正しい髪質改善の知識を身につけましょう。さあ、始めていきましょう。

 

目次

髪の毛の基本構造

髪の毛は大きく分けて3つの構造から成り立っています:

キューティクル(表皮):外側のうろこ状の壁で、髪を保護します。

コルテックス(皮質):髪の中身で、髪の強度や弾力を決めます。

メデュラ(髄質):髪の中心部にある芯で、存在しない人もいます。

美容師にとって特に重要なのは、キューティクルとコルテックスです。メデュラはあまり重要視されていませんので、ここでは詳しく触れません。

 

髪の毛を構成する4つの結合

髪の毛は4つの結合で構成されています。それぞれの結合について詳しく見ていきましょう。

 

1. 水素結合

○ 髪が水で濡れると切れる結合。

○ 寝癖直しは水素結合を切ることで行います。

 

2. イオン結合

○ 髪のpH値がアルカリ側に偏ると切れる結合。

○ アルカリで髪を膨らませ、栄養を入れた後、弱酸性で引き締めることが可能。

 

3. SS結合(シスチン結合)

○ 髪の強度を保つ重要な結合。

○ パーマや縮毛矯正で一度切り、再結合させて形を変えます。

 

4. ペプチド結合

○ 絶対に切ってはいけない結合。

○ 切れると髪がちぎれる原因に。

 

髪のダメージとその修復方法

髪がダメージを受けると、以下のような問題が発生します:

 

○ ケラチンボイドの発生

髪内部に穴が開き、強度が低下します。

 

○ CMCボイドの発生

細胞間脂質が損傷し、水分や栄養の通り道が乱れます。

 

○ キューティクルの損傷

外側の保護層が剥がれ、髪が外部刺激に弱くなります。

 

○ 親水化の進行

髪が水を過度に吸収し、乾きにくくなります。

 

ダメージ修復のためのアプローチ

美しい髪を取り戻すための具体的な方法をご紹介します:

 

○ ケラチンボイドを埋める

シスチンやフェザーケラチンを補給し、髪内部の穴を埋めます。

 

○ SS結合の補強

活性ケラチンやペプチドケラチンを使用して、髪の強度を高めます。

 

○ コルテックスの補強

ファイバーハンスを用いて、髪の中身をしっかりと補強します。

 

○ ボイドの減少

トステアやリンゴ酸で髪内部の空洞を減らします。

 

○ CMCボイドの修復

ペリセアを使用して、細胞間脂質の通り道を修復します。

 

○ キューティクル損傷の修復

セラックやタンニン酸で疑似キューティクルを形成し、保護します。

 

○ SS架橋の増加

グアニルシステインを使って、髪の強度をさらに高めます。

 

○ 疎水化の促進

カチオン18メチルエイコサン酸やエルカラクトンで、髪を水をはじく状態に整えます。

 

まとめ:美しい髪への道筋

これらの知識と技術を組み合わせることで、ダメージを受けた髪を効果的に修復し、理想的な髪質を手に入れることができます。

正しい知識を持たずに施術を行うと、期待した効果が得られないだけでなく、さらなるダメージを引き起こす可能性があります。お客様の笑顔のためにも、自分自身のスキルアップのためにも、しっかりと学んでいきましょう。

 

 

 

以下書き起こしです。

こんにちは、吹越 広彬です
今日は髪質改善の基本理論について
お話していきます

この内容を学ぶことによって、
お客さんに本当に正しく
最適な髪質改善技術を
提供することができます。

お客さんの髪の毛をちゃんと
キレイにすることが
できるようになります。

また、最近すごい髪質改善が
全国的に流行っているんですけど、
そのほとんどが
90%以上は間違ってるんですよね。

そういう間違っている
髪質改善技術をお客さんに
提供してしまうと、髪の毛が全く
綺麗にならないどころか、

最悪チリチリになって
訴訟問題になったりするんで、
お客さんをキレイにするためにも、
そして自分自身を守るためにも、

正しい髪質改善の知識を身につけて
いきましょう。では、はじめます。

まず、髪の毛の基本構造を
軽くお話ししていくんですけど、
だいたい髪の毛っていうのは
大まかに分けてこんな感じなんですよ。

この外側のうろこ状の壁を
キューティクルといいます。
そんでこの中側、これをですね、
コルテックスって言うんですよ。

それで、この真ん中に1本ある
この芯、これをメデュラって言うんですよ。
それぞれ日本名では
キューティクルが表皮、

コルテックスが皮質、
メデュラが髄質って言うんですけど、
我々美容師はこのキューティクルと
コルテックスっていうのが非常に重要です。

メデュラは髪の毛に存在してる人と
しない人がいるんですよ。
一応ありますよっていうので、
そんなに大切にはされてないんで、

別にここはあるんだよっていう風に
覚えておいたらいいと思います。

そして次に髪の毛っていうのは
4つの結合で結合されてるんですけど、
まず1番目の結合が水素結合ですね。
これは皆さんよくご存知の通り、

髪の毛が水で濡らすと
切れる結合です。
ですので、寝癖直しするには
水素結合を切ればいいんで、

ただ水で霧吹きとかを濡らしたり、
シャワー浴びて乾かすと
癖が取れるじゃないですか。
それが水素結合によるものなんですよ。

一番簡単に取れる結合が
水素結合です。

2番目はイオン結合って言うんですけど、
髪の毛ってのはpHってのがあって、
pH4.5、いわゆる弱酸性ですね。
この状態が一番髪の毛が安定してる状態で、

そしてpHってのは1に行くに従って
酸性になって、14に行くに従って
アルカリ性になっていくんですけど、
ここは7中性ですね。

このpH4.5をアルカリ側に外れると
イオン結合ってのが切れるんですよ。
このイオン結合を利用して例えば
アルカリで髪の毛を広げるんですよ。

膨潤させて、そして栄養成分を入れて
また弱酸性で引き締めるっていう、
そういうことができるのが
イオン結合ですね。

次にSS結合です。
このSって何?って話なんですけど、
これはシスチン、髪の毛を構成している
アミノ酸の1種なんですけど、

このシスチン同士の結合で
髪の毛は強固に結合されてるんですよ。
それでこのSS結合を切って、例えばパーマ
カールしたりストレートにしたりして、

また再結合させるっていう、
その時に使うのがこのSS結合です。

ですので、例えば日本人の9割以上は
くせ毛さんなんですけど、
大体みんな乾かしただけでキレイな
ツヤ髪になりたいという方がほぼ全員なんですけど、

その乾かしただけでキレイな
ツヤ髪になりたいって場合は確実に
このSS結合を切って、そして再結合させないと
いけないんですよ。

つまり縮毛矯正ですね。
この縮毛矯正をしないと
絶対乾かしただけでキレイになりません。
よく最近インスタとかで流れてくる

何かカスみたいな広告があるじゃないですか。
このシャンプーを使ったら
くせ毛が治りますよとか、
そういうことは物理的に

100%あり得ないです。
なのでそういうのは騙されないでください。

そしてお客さんにも何か言われたら
「そういうシャンプーあるんだけどどう?」
「ちょっとわかんない…」だと話にならないじゃないですか。
いやそれはこのSS結合っていうのを切らないと

クセ毛はキレイなストレートになりません。
そういう風に言うと、ちゃんと説得力もあるんですけど、
ちょっとよくわかんない。ってなったら
「ダメだ!こいつ!」ってなるじゃないですか。

ですので、ヘアエステはこのイオン結合までで
これで髪の毛のダメージによって
空いた穴を埋めてくれるっていうので、
それプラスSS結合を切るっていうので、

縮毛矯正が必要になってくるんですよ。

そして最後ですね、最後4つ目の結合が
ペプチド結合なんですけど、これは
絶対切っちゃいけない結合です。
これが切れたらもう髪の毛ちぎれます。

これ唯一切れるのはヘアカットですね。
例えばブリーチしすぎたり、
縮毛矯正でめちゃめちゃ強い薬剤を
オーバータイムしちゃうと切れちゃうんで。

薬剤でも切れるし、熱でも切れるし、
物理的にも切れるので、髪の毛が弱ってると
非常にもろく切れやすくなります。
そして我々美容師はこのペプチド結合は

絶対死守しないといけないんですよ。
これ、例えば縮毛矯正やって
根元からちぎれたって人が結構いるんですけど、
もうほんと訴訟問題になっちゃうんで、

そこら辺は絶対切ってはいけないって
覚えておいてください。

はい、そしたらですね、次は
髪の毛がどうなったらダメージするかっていうのと、
そのダメージした髪の毛はどうやってやれば
元に戻るのかっていうことを

説明していきます。

まずですね、このケラチンボイドってのが
あるんですけど、ボイドっていうのは
穴ってことですね。髪の毛っていうのは
ダメージすると髪に穴が空いてくるんですよ。

こうやって穴ぼこが空いてくるんですよ。
そしてキューティクルが剥がれてくるんですよ。
外側の壁ですね。このケラチンボイド、
ケラチンの穴が空いて、

そして次にこのCMCボイド。
CMCっていうのは細胞間脂質っていうので、
髪の毛ってのは無数にたくさんの
細胞があるんですけど、

その細胞の間の脂質って覚えておいてください。

これは水を通らせたり、薬剤を通らせたり、
通り道ですね。水道みたいな感じだと
思っといてください。この細胞間脂質も
穴が空いてくるんですよ。

そしてキューティクル損傷、剥がれですね。
穴があくと髪の弾力強度が低下して、
そしてCMCボイドでも弾力・強度が低下して
親水化っていう状態が起こるんですよ。

親水化ってのは髪の毛ってのは
ダメージすると穴が空くじゃないですか。
この穴の部分に水が入ってくるんですよ。
ですので、僕のようなブリーチ毛ってのは

めちゃめちゃ乾くのが遅いんですよ。
なぜかって言ったら、髪の毛穴ぼこだらけだからです。
だけど僕の頭、これは普通にすぐ乾きます。
これなぜかって言ったら、

ヘアエステやってたり、特殊なブリーチしてるからです。

この水がすごい入ってる状態、つまり
穴ぼこだらけの事を親水化って言うんですけど、
この親水化を疎水化させなきゃいけないんです。
疎水化ってのは穴ぼこを埋めて

水をはじく、水を入れさせないってことですね。
つまり、ヘアエステをしてダメージの穴埋めをすると
髪の毛っていうのはめちゃくちゃ乾きやすくなるんです。
なぜかと言うと、ダメージによって

髪に入っていた水が埋まったので
水が入らなくなるので。
つまり乾きやすくなったイコール
補修かかったっていうことになります。

だいたいこれが髪の毛がダメージする原因ですね。

そしてそれらを直していくには
どうしたらいいかって話なんですけど、
まずはケラチンボイドを埋めるには
シスチン、フェザーケラチン、

これらが必要になってきます。
フェザーケラチンってのは鳥の羽から
精製されたケラチンですね。
ケラチンってのは実は300種類ぐらいあって、

低分子っていう小さいケラチンから
高分子のでかいケラチンまであるんですよ。
それらを効果的に使わないと、
このケラチンボイドってのは

埋めることができないんですよね。

そして髪の毛のSS結合を補強してくれる
最高レベルのケラチンってのがあるんですけど、
これは活性ケラチンとペプチドケラチンですね。
SS補強はここですね。

このSS結合はこれもダメージによって
めっちゃ切れてくるんですよ。
それで美容師さんによっては
そのSS結合をちゃんと切って、

縮毛矯正かけたり、パーマかけたけど
間違った技術だったり、間違った知識で
そのSS結合をちゃんと再結合させてない場合も
あったりするんですよ。

それでこのSS結合、シスチンが
どんどん外に流出しちゃったりします。
あとは大体ケミカル系の施術をすると、
シスチンってのはシステイン酸というのに

変化して、それがダメージの原因だったりするんで、
このシスチンってのはどんどん減っていくって
思っててください。
ですので、このSS補強がめっちゃ重要になってきます。

この活性ケラチンと普通のケラチンは
何が違うかって言ったら、これはですね、
SH基っていうのを持ってて、
つまりこれSがここについてるじゃないですか。

このSでSS結合のSとちゃんと
結合されますよと。
これが活性ケラチンと言うんですけど、
活性って付いてるから

活性させないといけないんですよ。
その活性させるにはアルカリ領域に
髪の毛を持っていって活性ケラチンを入れるっていう
ことをしてやるといいですね。

あとは次にコルテックス補強。
コルテックス補強はここですね。皮質、中身ですね。
髪の中身を補強します。
それをするにはこのファイバーハンスが

非常に重要になってきます。

もちろんうちの美容室では
縮毛矯正の薬剤にこのファイバーハンスを
入れてるんですよ。
つまり縮毛矯正というのは

めちゃめちゃダメージするんですけど、
このファイバーハンスと
あとキュアテインという活性ケラチンも
髪の毛を補修する成分ですね。

それも入ってるので縮毛矯正しながら
髪の毛を補修できるというめちゃめちゃ最高な、
縮毛矯正ですね。
日本で一番の薬剤を使ってるんですけど、

それも後々薬剤の説明をしていくんですけど、
このファイバーハンスはコルテックス補強ですね。

そしてSS補強とコルテックス補強をする事によって
髪の弾力強度低下を上げてくれると。
あとはですね、このケラチンのボイドを
減らすっていうのも重要なんですよ。

最近ですね、結構一般でも聞かれるように
なってきたんですけど、
このトステアっていう成分が
ボイドを減らすのに役立ってくれるんですよ。

通称アミノエチルチオコハク酸ジアンモニウム
って言うんですけど、簡単に言うとトステアですね。
あとはリンゴ酸です。
ケラチンのボイドを減らす、プラスボイドを埋める。

そうすることで、このボイドっていうのは
だんだんだんだん埋まってきますね。

そして次はCMCボイド。
細胞間脂質ですね。細胞と細胞の間の
通り道ですね。
それを埋めるには、このペリセアっていうのが、

こういう成分が重要になってきます。

次にキューティクル損傷ですね。
これを治すには疑似キューティクルってのを
付けないといけないんですけど、
それを付けるにはセラックとタンニン酸ですね。

これどっちも疑似キューティクルに
なるんですけど、より強いのは
タンニン酸の方なんですけど、
実はこのタンニン酸はめちゃめちゃやっかいで

ちょっとでも入れると爆裂にきしむんですよ。
セラックの方がすごい使いやすいですね。
このセラックをメインとして
タンニン酸をほんの少し5%ぐらい入れる。

そういう感じで使ってやると
どっちも効いてくれるのでいいですね。

次にSS架橋を増やすってここなんですけど、
架橋ってのは、髪と髪の間を
読んで字のごとく橋渡しですね。
橋をかけるっていうので架橋っていうんですけど、

髪の毛の強度を上げるっていうことですね。
これにはグアニルシステインって言う成分なんですけども、
これも縮毛矯正の中に入ってるんですけど、
最近は本当すごいエイジング毛っていう

髪の毛が加齢によってどんどん細く
パサパサしていくっていう、なんかちょっと
ダメージしてるなっていう
普通の縮毛矯正剤使うと

確実に焼けるなっていう。
焼けてちりちりになるわ
ちぎれるわっていうめちゃめちゃ弱い髪あるじゃないですか。
あとはブリーチ毛だったり、すごいハイダメージの

髪の毛なんですけど、そういう髪の毛に対しては、
このグアニルシステインっていうのが入ってる
薬を使わないと難しいですね。

このグアニルシステイン、ファイバーハンス、
キュアテインだったり色々そういうのが入ってる
薬剤を使って、このSS架橋を増やしながら
癖を切ってSS結合を切ってストレートにして

再結合させる。そしたらこのSS架橋も
されるんで、より髪の毛が補修も効いて
くせも治るっていうスグレモノですね。

そしたら次に疎水化させるには
どうしたらいいかって話なんですけど、
こういうケラチンボイド、CMCボイド、
キューティクル損傷を直してやると

だんだん疎水化してくれるんですけど、
疎水化に特に効くのが
カチオン18メチルエイコサン酸っていうんですけど、
これはキューティクル、こっちの外側の方を

補修してくれますね。

そして次に活性油脂。
こちらは別名エルカラクトンって言うんですけど、
これもキューティクルとキューティクルを
くっつけてくれる役割があるので、

このエルカラクトンもすごい重要ですね。
次にジグルコシル没食子酸。
これら3つを使ってやると疎水化してくれます。

それでケラチンボイドを埋める、減らす。
キューティクル損傷は疑似キューティクルで補強する。
CMCボイドはペリセアで埋める。
あとはSS架橋を増やしたり

コルテックス補強、SS補強してやると
髪の毛ってのはダメージしたやつが
だんだんだんだんと戻ってくるんですよ。

これらがダメージした髪の毛を補修する
全栄養成分とあと髪の毛の基本構造、
そして結合の種類ですね。

こういう基本知識がないと、髪の毛ってのは
絶対綺麗にできないんですよ。
例えばケラチンめっちゃいいから、そしたら
ケラチン使おうってなった時に、果たして

そのケラチンは一体どういうケラチンなのか、
低分子なのか高分子なのか、
シスチンなのか、フェザーケラチンなのか、
活性ケラチンなのか、ペプチドケラチンなのか。

300種類ぐらいあるんですよ。

それは全然意味のないもの、
全く効果のないものを使ってたら、例えば
美容師側としてはお客さんの髪を綺麗にしようって
思ってトリートメントしてるけど、

全然効かないじゃんっていうのがあったりするんです。
あとはケラチンだけじゃどうにもならないですね。
これら全てを組み合わせないといけないんですよ。
そしてこれらにも濃度ってのがありますから、

適切な濃度でやんないとダメなんです。

例えばセラックだったり、タンニン、
ここら辺も濃度高くすればいいじゃん、
いけるじゃんってなったら半端なく軋みすぎて
それでクレーム来たりしますから。

ですので、こういう基礎知識っていうのは
非常に重要になってきます。

では次回からこれらの成分が入っている
最高の薬剤は何なんだって、
どういう風に使えばいいかっていうのを
次回お話ししていきます。

今回もご視聴ありがとうございました。

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